流通実態

「家電製品の流通実態に関する調査報告書?適正取引への課題?への期待」

公正取引委員会は9月24日「家電製品の流通実態に関する調査報告書」を公表した。

 

これは、大手量販店の低価格競争の背景に、メーカーが行う不透明なリベート支出、従業員等の派遣等の販売政策や大手量販店の購買力に基づく企業行動による問題もあると指摘されているところから、これらの実態を把握するなかで、競争政策上の問題を整理することを目的に実施されたものである。

 

現在、家電量販店の低価格競争は一部異常な値引き合戦にもなっているところから、この報告書に基づいて公正取引委員会が対応するということの意味は大きいと言える。特に、今回の報告書について公正取引委員会は、(1)基本的には平成3年7月に公表した「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(ガイドライン)の内容を再確認したものであるが、家電業界に関して特出し、まとめたものである(2)そのなかでメーカーに改めて合理性、公平性、透明性のある商取引の推進を要請するとともに、家電量販店といえども優越的地位の濫用に該当する場合があり得ることを明確にした(3)今後この報告書で解説した内容に該当するような案件について、申告があれば厳しく審査していくことを強調している。

 

この報告書の詳細については次号にて掲載の予定だが、ここでは、公正取引委員会が強調した「独占禁止法上の考え方」について少し触れてみる。まず、取引価格に係る独占禁止法上の問題では、次のように指摘している。一般に取引先事業者ごとに、取引価格において差異があるとしても、その差異が取引内容、需給関係、市況、決済方法等を反映した経済合理性の認められる範囲のものであれば、差異があること自体が独占禁止法上問題となるものではないとしながら、?メーカーA社と継続的な取引関係にある小売業者甲社及び乙社が同一の商圏内に所在している場合において、A社と甲社又は乙社との取引内容(取引高、決済条件、配送条件等。以下同じ)が同等とみられるにもかかわらず、A社の甲社又は乙社に対する同一種類の家電製品の実質的な取引価格との間に著しい相違がみられる場合?メーカーA社と継続的な取引関係にある小売業者甲社及び乙社が同一の商圏内に所在している場合において、A社と甲社又は乙社との取引内容が同等とはみられないものの、A社の甲社又は乙社に対する同一種類の家電製品の実質的な取引価格にその取引内容の相違を超えた著しい相違がみられる場合、これにより不利に取り扱われた小売業者の競争機能に直接かつ重大な影響を及ぼすことにより公正な競争秩序に悪影響を与えるならば、独占禁止法上の問題(不当な差別対価、差別的取扱い)が生じるおそれがあるとしている。

 

 

つまり、ここでは同一商圏内における流通事業者への取引価格は合理的に説明ができる公平なものにすべきであるとの指摘となっている。

 

続いて、家電量販店の優越的地位の濫用に係る問題では、明確な数値を示して、これまでメーカーが圧倒的に優位にあると言われてきた取引関係において、家電流通事業者であっても優越的地位の濫用に該当する場合がある得ることを示した。

 

大手家電量販店の中には、1 社でメーカーの販売額の10%以上の取引高を有するものも現れている。メーカーの大手家電量販店に対する販売依存度は高まる傾向にあり、メーカーとしてもその販売力を軽視することはできない。このような中で、メーカーが事前に設定している交渉価格、リベート支出基準にもかかわらず、粗利補てんリベート等の供与に当たり、特定の大手家電量販店に対して、特に有利となる取扱いをしている事例もみられた。メーカーと大手家電量販店が予め十分交渉の上でリベート等を授受することについては特に独占禁止法上問題となるものではないが、例えば、大手家電量販店が、自社への納入依存度が高く、取引先を変更することが困難なメーカーに対して、一旦取引価格について合意しているにもかかわらず、さらに粗利補てんリベート等の供与を求めることについては、その求める内容や要求の方法いかんによっては、独占禁止法上の問題(優越的地位の濫用)が生じるおそれがあると指摘している。(以下次回)